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放送作家のレジェンドが語る!鈴木おさむ氏が仕掛ける「エンタメVC」の全貌

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日本のエンタメ業界の第一線で30年以上にわたり活躍し、「SMAP×SMAP」「めちゃ×2イケてるッ!」など数々の国民的ヒット番組を手がけてきた放送作家、鈴木おさむ氏。彼が2024年に放送作家業を引退し、スタートアップの世界に本格的に飛び込んだことは、多くの人々に驚きと注目を集めました。しかし、彼のこの大胆なキャリアチェンジは単なる引退ではありません。自身のベンチャーキャピタル(VC)「スタートアップファクトリー」を立ち上げ、新たな才能とビジネスモデルを発掘し、日本のエンタメ業界に革新をもたらそうとしています。

今回は、そんな鈴木おさむ氏のキャリア転身の裏側から、彼のユニークな投資哲学、そして日本のエンタメ業界の未来に対する深い洞察まで、その全貌を深掘りしていきます。彼の言葉の端々から感じられる情熱と、「人生を賭ける瞬間」へのこだわりは、私たち自身のキャリアや生き方にも大きな示唆を与えてくれるでしょう。


放送作家から起業家へ:アドレナリンを求めた32年目の転身

19歳で放送作家としてのキャリアをスタートさせた鈴木おさむ氏は、瞬く間にその才能を開花させました。20代、30代には、SMAPをはじめとする人気アイドルグループの番組や、興行収入60億円を記録した映画「ワンピース フィルム ゼット」の脚本など、テレビや映画の世界で数々のメガヒットコンテンツを生み出し、その名を不動のものにしました。

しかし、華々しい成功の裏で、彼は30代後半には早くも「やり尽くした」という感覚に襲われ始めます。そして40代に突入すると、長年彼を突き動かしてきた「アドレナリンが出なくなった」という、クリエイターとしての危機感を抱くようになりました。彼はこの40代の時期を「しんどかった」と振り返り、盟友である秋元康氏も同様の経験を語ったといいます。

この時期、彼はテレビ業界の構造的な問題にも直面します。例えば、テレビ番組のプロデューサーというポジションは、通常30代後半から40代が担当します。その前段階として、若手はアシスタントディレクター(AD)として8年、9年と下積みを重ねるのが一般的でした。彼自身も若くして成功を収めた経験を持つからこそ、このような硬直化したシステムが、燃えるような情熱を持つ若い才能の芽を摘んでしまうことへの強い疑問を感じていたのです。

転機が訪れたのは2011年、彼が40歳になる頃でした。サイバーエージェントの藤田晋氏との出会いです。当時、テレビ朝日とのタイアップで制作していた携帯ゲーム「私のホストちゃん」のプロデューサーが、なんと24歳の若者だったことに鈴木氏は衝撃を受けました。テレビ業界では考えられない若さで、大きなプロジェクトの責任を任されている若手の存在。これは、彼が抱いていたテレビ業界への疑問をさらに深め、新たな世界への扉を開くきっかけとなりました。

「会社組織でのクリエイティブは、『面白い』だけでは成り立たない」。テレビという巨大な組織の中で長年仕事をしてきた彼は、個人としての「面白い」アイデアが、会社や組織の「ラスボス」たちの論理によって歪められたり、時には潰されたりする現実を痛感していました。そして、もっとたちが悪いのは、若手の意見を「お前らの気持ちもわかるよ」と言いながら、結果的に自分たちの都合の良いようにコントロールする「ソフト老害」と呼ばれる存在だと言います。このような環境では、本当に革新的なクリエイティブは生まれません。アドレナリンが枯渇したのも、この構造から来るものだと彼は悟ったのです。

放送作家としてのキャリアに区切りをつけ、新しい挑戦の場を求める鈴木氏の探求は、こうして始まりました。


スタートアップとの出会い:偶然から生まれた新たな「選択肢」

放送作家としてのキャリアに終止符を打つことを決意した鈴木おさむ氏の次のステップは、多くの人にとって予想外のものでした。彼のオフィス地下スペースが空いた際、サイバーエージェントの谷口氏から「シェアオフィスをやってみてはどうか」という提案があったのが、スタートアップの世界に足を踏み入れる最初のきっかけでした。

このシェアオフィスには、LDHのパフォーマーや若い力士、そして様々な企業の同世代の人々が集まり、交流会が頻繁に開催されました。鈴木氏自身が「横と横を繋げたがる」「飲み会が好き」という人間であるため、異業種の人々が気軽に集まり、情報交換し、刺激し合う場が自然と形成されていったのです。

この交流の中で、鈴木氏は多くのエンタメ系スタートアップと出会い、自身もエンジェル投資を始めます。彼が提供したのは資金だけではありません。元放送作家としての豊富な人脈や経験を活かし、彼らの事業のスピードを1.5倍から2倍に加速させることを目標としました。特に創業期においては、このスピード感が成功の鍵を握ると考えていたからです。

そして、彼をスタートアップの世界へ決定的に引き込んだのが、2018年にサイバーエージェントの藤田晋氏との会話でした。藤田氏が過去の投資活動を再開し、「藤田ファンド」としてシード期やアーリー期のスタートアップに投資を始めることを耳にした鈴木氏は、その活動に強い関心を持ちます。特に、藤田氏が串カツ田中を貸し切って行ったピッチイベントで、投資を受けた3社(Payme、GREE、タイミー)の若手起業家たちが「人生を賭ける瞬間」に立ち会ったことは、彼にとって忘れられない経験となりました。

彼らのプレゼンテーション、そしてその後の成功を見て、鈴木氏は「自分もファンドを立ち上げたい」という強い思いを抱くようになります。それは、単なる経済的なリターンを求めるものではなく、彼がかつてエンタメの世界で感じていた「アドレナリン」を、志の高い若手起業家たちの「人生を賭ける瞬間」を通じて再び味わいたいという、クリエイターとしての根源的な欲求を満たすものだったのです。


泥臭い資金集めと、想定外の道のり

ファンド設立を決意した鈴木おさむ氏が次に直面したのは、資金調達という現実の壁でした。目標額10〜15億円を掲げましたが、この道のりは決して平坦ではありませんでした。

まず、彼の「放送作家」としての輝かしい実績は、スタートアップ投資の世界では必ずしも通用しませんでした。むしろ、「元放送作家のファンド」という肩書は、既存の枠に囚われない自由な発想の象徴である一方で、「投資の実績がない」という厳しい評価に繋がりました。大手テレビ局にもアプローチしましたが、熱心なプレゼンテーションにもかかわらず、ほとんど連絡が返ってこないというまさかの事態に直面します。鈴木氏は「放送作家という肩書を捨てた自分に、テレビ局は価値を感じてくれなかった」と、この時の悔しさを露わにしました。特に、大きな人事異動を控える時期のテレビ局は、リスクを避ける傾向が強く、新たな動きには極めて慎重になるという、日本企業特有の「横並び意識」にも直面しました。

しかし、この「悔しさ」こそが、鈴木氏の原動力となりました。彼は、このままでは終われないと、IT系の大手企業(サイゲームスなど)、地方局(東海テレビ、KBC福岡など)、出版社(講談社)、広告代理店(博報堂)といった、多様な業界のパートナーたちに粘り強くアプローチを続けました。彼の持つ豊富な人脈と、事業に対する情熱、そして何より「ありそうでなかった」ものへの嗅覚が、これらの企業に響き、最終的には当初の目標を大きく上回る23億円超の資金調達を達成します。

この経験は、鈴木氏に自身の「価値」の再認識をもたらしました。自身の専門分野であるエンタメ業界はもちろん、一見異業種に見える分野の企業も、彼の持つユニークな視点や人脈、そして事業を加速させるための知見に価値を見出したのです。この泥臭くも諦めない資金集めのプロセスは、鈴木氏自身の「人生を賭ける」という覚悟を、より一層強固なものとしました。


鈴木おさむ流!個性派起業家への投資哲学

鈴木おさむ氏がファンドを設立し、投資を行う上で最も重視しているのは、彼自身のクリエイターとしての原点に根ざしたユニークな哲学です。彼の投資対象は、主に「To C(消費者向け)」のビジネスに特化しています。その理由は、To B(企業向け)のビジネスにおいては、自身よりもはるかに優秀な起業家や投資家が存在すると認識しているからです。彼が本当に力を発揮できるのは、一般の人々の心を掴み、感情を揺さぶるエンタメに近い領域だと考えています。

そして、投資先の起業家を選ぶ上で彼が最もこだわるのが、「“痛いくらい”の個性」です。ここでいう「痛さ」とは、決してマイナスな意味ではありません。それは、「スマートさ」や「常識」からはみ出した、情熱的で、泥臭く、そして何よりも強い信念と行動力を持つ人々のことを指します。

鈴木氏は、まるで週刊少年ジャンプの主人公のような、困難に直面しても諦めずに突き進む、ある種の“馬鹿さ”を兼ね備えた起業家たちに惹かれます。彼は常に自身もそうであったように、「ありそうでなかったもの」を創造する才能と、そのアイデアを実現するために「人生を賭ける」覚悟を持つ人間を求めているのです。

具体的な投資事例として、「hartee」社の事業が挙げられます。元々NFTアート事業を展開していた同社は、鈴木氏の提案もあり、持ち運び可能なプリクラ事業へと大胆なピボットを遂げました。韓国でもプリクラ市場が活況を呈しているものの、デザインの決定権が韓国側にあるなどの課題がありました。harteeは、この課題を解決し、日本のIPを活かした持ち運び可能なプリクラを開発。鈴木氏は、50kgもある試作機を1万人規模のイベントに導入するなど、積極的に事業展開を後押ししました。

また、ショートドラマ制作を行う「はる」社の社長も、大学中退でインフルエンサーとして活躍する“痛い”個性派起業家です。彼は「僕は偉人になる」と公言してはばからず、常識にとらわれない発想で事業を展開しています。鈴木氏は、彼らのプレゼンに感銘を受け、「熱量」と「痛さ」を感じたことで投資を決定しました。

鈴木氏は、これらの若手起業家たちが「人生を賭ける」瞬間に立ち会うことを、自身の最大の喜びとしています。彼らにとって、鈴木氏は単なる資金提供者ではなく、自身の豊富な経験と人脈を惜しみなく提供するメンターであり、時には共に汗を流す仲間でもあるのです。


元放送作家が活かす「関係性」と「知見」のサポート

鈴木おさむ氏が自身のファンドを通じてスタートアップに提供する価値は、資金だけにとどまりません。元放送作家として32年間培ってきた「関係性」と「知見」こそが、彼のファンドの最大のアドバンテージです。

彼は、投資先の企業と毎月1回のペースで会議を行い、事業の進捗を共有し、課題解決に奔走します。その目的はただ一つ。「僕が介在することで、会社のスピードを1.5倍から2倍にしたい」というものです。特にスタートアップの初期段階において、このスピード感は企業の命運を分けます。彼の持つ経験とアイデア、そして決断力が、迅速な事業展開を可能にしています。

具体的なサポート内容は多岐にわたります。

  • 企画・アイデア出し: ヒットコンテンツを数多く生み出してきた彼のアイデア力は、新たなサービスや商品の企画に活かされます。
  • プロモーション戦略: 彼の持つSNSでの発信力やメディアへのコネクションは、スタートアップの認知度向上に直結します。テレビ、ラジオ、雑誌、ウェブなど、あらゆるメディアでの露出機会を創出します。
  • 異業種連携: シェアオフィスや交流会を通じて築き上げてきた、芸能界、スポーツ界、IT業界、出版社など、多岐にわたる人脈を活かし、スタートアップが必要とするパートナーシップを構築します。例えば、LDHや力士といった異色の人材との協業は、スタートアップに新たなビジネスチャンスをもたらします。
  • 経営アドバイス: 長年、大企業のテレビ局からインディーズ的な舞台まで、様々な規模と形態のクリエイティブビジネスを経験してきた彼は、経営者としての視点からも的確なアドバイスを提供します。特に、テレビ局との資金調達で苦戦した経験から、その業界特有の事情を理解し、適切なアプローチ方法を指南します。

前述の「hartee」社のプリクラ事業では、鈴木氏のエンタメ業界での知見が、持ち運びできるプリクラという新しいコンセプトの具現化に貢献しました。また、「はる」社のショートドラマでは、Netflixで日本のドラマが世界中でヒットしている現状を捉え、日本の制作物への高い評価を背景に、単なるドラマ制作にとどまらないグローバルな展開を見据えたサポートを行っています。

彼は自らを「フットワークの軽いメンター」と称し、投資先の起業家たちが「人生を賭ける瞬間」を最大限にサポートすることに喜びを感じています。単なる資金の出し手ではなく、事業成長の伴走者として、そして彼らの夢の実現を後押しする存在として、鈴木おさむ氏は唯一無二の価値を提供しているのです。


次なる波は日本発!エンタメ業界の未来を見据えて

鈴木おさむ氏は、日本のエンタメ業界が今、大きな転換期を迎えていると断言します。これまで数年間にわたり世界を席巻してきた韓国エンタメが、ビジネス上の課題に直面し始めているからです。俳優のギャラ高騰、資本主義的なビジネスモデルへの過度な依存、そして画一的なコンテンツの増加などが、その勢いを鈍化させていると指摘します。

そして、その次に「日本の打順」が来ていると、彼は強く主張します。特に、世界中で愛されるアニメを筆頭に、日本のコンテンツには計り知れない潜在能力が秘められています。鈴木氏は、アニメだけでなく、実写ドラマや音楽といった分野においても、日本の質の高いクリエイティブが世界で通用する時代が来ると確信しています。Netflixで彼自身が手掛けたドラマが世界1位を獲得したことも、その確信を裏付けるものと言えるでしょう。

彼の投資哲学である「痛いくらいの個性」を持つ起業家たちへの支援は、まさにこの「日本の打順」を活かすための戦略です。日本の「オタク文化」は今や世界中で一般化しており、その深さと多様性は他国にはない強みです。鈴木氏は、この豊かな土壌から生まれる、常識にとらわれない自由な発想と、リスクを恐れずに挑戦する「痛さ」こそが、日本のエンタメを次のステージへと押し上げる原動力になると考えています。

「人生には『選択肢』がある」。この鈴木氏の言葉は、私たち自身のキャリアだけでなく、日本のエンタメ業界全体に向けたメッセージでもあります。現状維持に甘んじることなく、新しいことへの挑戦を恐れないこと。失敗を恐れず、そこから学び、常に前進し続けること。そして何よりも、「そういえば、なんでこれ、今までなかったんだろうね?」と人々が思うような、潜在的なニーズを満たす革新的なアイデアを具現化する人が、これからの時代を牽引していくでしょう。

鈴木おさむ氏の挑戦は、まだ始まったばかりです。彼のファンドが支援する個性豊かなスタートアップたちが、日本のエンタメ業界、ひいては世界中のクリエイティブシーンにどのような新しい風を吹き込むのか。そして、彼自身が「人生を賭ける瞬間」を、これからもどれだけ私たちに見せてくれるのか。その動向から目が離せません。


このブログ記事は、鈴木おさむ氏の講演内容を元に、最新技術と起業の専門家であるジャーナリストの視点から作成されました。彼の言葉一つ一つに込められた情熱と知見が、読者の皆様の未来を切り開く一助となれば幸いです。